井上尚之展から、いくつかご紹介


おかげさまで天候の悪い初日から多くの方にお越しいただいて、ありがとうございます。今回の井上尚之展には、総計で900点を越すたくさんの器が届いており、Webでの紹介が遅れておりますが、順次掲載していく予定です。もしお気に召すものなどございましたら、メールなどでお気軽にお問い合わせください。お取り置きもお送りも可能です。

しかしながら、ご連絡をいただいたときには既に売れている品などもあるかと思いますが、その際にはご了承くださいませ。

小代焼ふもと窯・井上尚之・スリップウェア正方皿
小代焼ふもと窯・井上尚之・スリップウェア・6寸丸皿小代焼ふもと窯・井上尚之・スリップウェア・6寸丸皿
小代焼ふもと窯・井上尚之・スリップウェア・4寸丸皿
小代焼ふもと窯・井上尚之・スリップウェア・4寸丸
小代焼ふもと窯・井上尚之・スリップウェア・5寸丸
小代焼ふもと窯・井上尚之・スリップウェア・5寸丸
小代焼ふもと窯・井上尚之・スリップウェア・5寸丸
小代焼ふもと窯・井上尚之・スリップウェア・5寸丸

下のリンク先に今回の企画展のうつわをまとめていく予定です。時々ご覧いただけますと幸いです。

第6回 小代焼ふもと窯 井上尚之展

2011年 9月20日(火)から 10月2日(日)まで

会期中は休みません
作り手在店日 24,25日

にっこり笑って窯の皆とたくさん仕事をする。
飴色の釉薬も、藁白の釉薬も調子良し。
彼の機嫌の良い仕事の繰り返しが、
僕らの日々の暮らしのよろこびにつながってくる、
そんなうつわが届きます。

みなさまの笑顔を楽しみに、お待ちしております。

撮影・重松美佐(STM)

ふもと窯のものから

1月17日に査読論文を一本提出して、それがどうなるかはさておき、自分の中で一段落しましたので、ふもと窯に行ってきました。相変わらず窯全体が明るくて、この元気に接すると良いな、この元気がうつったうつわは良いな、と感じました。窯の調子も良好です。特に気に入ったものを選んで仕入れてきました。いくつか下に紹介します。


最近「スタンダードウェア」などという名前をつかう窯が増えて、じゃあそれ以外の器はなんなのだと思うのですが、ふもと窯の、ふつうのもの。個人的には蓋物につまみはなくてもいい気がしています。スプーンをさすための穴など論外かな、と。

スリップウェア・丸皿七寸。スリップウェアだって、ふつうのもの。



スリップウェア・角皿(24*16.5cmくらい)。

スリップウェア角皿・中(21*14.5cmくらい)



スリップウェア楕円皿(23.5*16.5cmくらい)

スリップウェア正方形皿(19*19cmくらい)


1月は久しぶりに企画展のない月でしたが、注文品なども届いて常設のものが充実しています。追々紹介いたします。

ふもと窯のうつわが入荷しました

左:次の窯の素焼きの準備。右:秋刀魚皿など。

左右:湯冷まし。

左:ぐるぐる小皿。右:藁釉七寸皿。今回は形といい釉といい、なかなか好みの柔らかさです。

鶴岡さんの個展が終わって気がつけば店に器の在庫がない。そんな折も折に井上尚之くんから電話をもらったので早速朝から車で向かい、いくつか選ばせてもらってその場で積んできました。只今絶賛発売中。この短慮、この計画性のなさ。

まさに花札でいう「からす」だな、と我ながら思います。手札がないから長期的戦略などということは立てられない。だから、当然その場しのぎの繰り返しで、持ち札のなかから場にある札と組み合わせて自分の役を作っていく。さらにいえば店は「民芸店」という趣のないただの掘っ立て小屋だし、もちろん僕自身も人様に伝えられるような、店をやるための手法など何処にもない。ないのだけれど、それがために、かえってできることが増える。それが楽しい。100年先のことなど考えず、足元をしっかりと確かめつつ進み、時々顔を上げて少しだけ先を見る。その繰り返しで生きているんだなあとおもいます。

井上尚之・ピッチャー・小

個展も5日間がすぎました。彼の個展に今まで重ねてご来店下さった方々が口々に、今年のうつわはほんとうに良い品が揃ってますね、とお声掛け下さるのが何より嬉しいです。先年、国展新人賞を受けたことが自信にもなっているのでしょうが、ピッチャーの形がなにげなくて、好みです。まだまだいろいろと揃えていますので、足をお運びいただけますと幸いです。

井上尚之・スリップウェア丸皿

やちむん展の最中ですが、見込みが甘く数が足りなくなってきたので「やちむんの比較的多い常設展」の様相を呈しています。そんななか、新しく届いたのが小代焼ふもと窯・井上尚之さんのスリップウェア。5寸の丸皿と小さな角皿です。柄は様々です。僕は濱田庄司がスリップウェアの作り方を見いだした文章がとても好きなので、下にうつします。

季節は移ってセント・アイヴスに住んでから二年目の秋を迎えました。秋になりますとブラック・ベリーが庭に実りますので、それで私たちはジャムをつくり、よく食べたものです。パンの上にまずバターを塗り、その上にブラック・ベリージャムをべったりと分厚く塗って、さらにその上に濃いコーニッシュ・クリームというのを、どろどろっと横縞に流し、それにナイフを入れたとたん、「出来た、出来た。スリップウェアがわかった」と叫びました。リーチとうなずき合って早速仕事場の陶土でやってみますと、今までの謎は期せずして解け、スリップの泥しょうの濃度の加減も分かったのでした。

釉のことですが、それはこの技法の発見の前に解決済みでした。というのは、日本を出発する前に低火度の窯で安全度の高いものは楽焼の釉であり、それにリーチが初め六代目乾山から学んで、後に本焼きが出来るようになっても、常に愛用していた手法なので、何か役に立つこともあろうと言うことで、わざわざ日本から持って行ったのですが、ある人から部屋の壁面を飾るパネルを頼まれて、技術的に優しいその楽焼釉を使って焼いてみることになりました。それがどういうものか楽焼として成功したのに、もう一つ調子が出ない。釉も色も良いのですが、石の英国の室内に置いてみますと少しも合わない。楽焼の柔らかい感覚は木・紙・草・土といった素材で出来ている日本の室内では、周囲にとけ込みよく調和するのですが、壁の石と硝子窓とかが相手では、楽焼の釉は合わないのです。

「出来た、出来た。スリップウェアがわかった」と叫んでしまう濱田の若さに対し、そうだそうだと、大きく首肯したいのです。そういう若さということも含め、僕は井上尚之くんの作るスリップウェアをふだんに使うのがとても好きです。年輩の方には、彼はあまりにも先達のものを真似しすぎているのではないか、イギリスの古いものにはどうやっても叶わないのではないか、とおっしゃる方もいます。僕はその意見は当然とは思いますが、与しません。以前、井上尚之展をひらく直前にいただいた、そのようなメールに対する、自分の返答は下記の通りでした。今でもその気持ちは変わりません。

さてスリップの件。

僕は今スリップの技法を用いている人たちのなかで唯一、井上君に期待している点があります。それは若いということです。またそれは安いということでもあります。○○さんが書かれたように、美の尺度に照らせば現時点で「オリジナル」に勝てないのは明らかです。しかし井上君の器を使う人は、それを日常に用い、結果として器が育つということを感じることができます。それは坂田さんで買う65万円のスリップウェアで可能でしょうか。

僕がうつわの店として、少しずつものを選んでいる若いお客さんに提供したいものは、たんに美しさだけではなく、器を身近な道具として使っていくというお客さん自身の経験です。完成された美は自らの規範、師となりますが、先生だけでは生きていけないです。一緒に喧嘩しあって育っていく友達がいなくては。

というわけで、今回の個展では、今の時代に生きる僕らが「暮らす」ということについて、考えていることを不完全なりに示せたらと思っています。

また井上君を信頼する理由としては、スリップという技術を最終目的としていないことです。あとに生まれたものは皆、先輩の仕事を乗り越えていくものだと思っていますが、彼もその為に目の前に数多ある技術のなかからスリップを選び、手を動かしていくなかで得た感触を小代に組み込んでいるのでしょう。僕個人としても、もっと不器用な方が真似といわれないだろうになとは思いますが、それはスリップという技術の峰を越そうとしている証しでもあるだろうと思います。じきに来るであろう谷は深く、さらに次の峰はより高いでしょうが、それもまた若い世代に与えられた特権的な立場です。それは河井や濱田が越してきた路でもあります。また、他にも篠山の面々、倉敷の石川君など、同世代の仕事を見ていると、時代をこえる美というのは、数限りのないコピーや制約のなかで格闘することで、結果としてふと生まれてくるものではないかと思っています…。

生意気を申しました。ご容赦ください。

生意気を申しました。使っていただき、お確かめいただけますと幸いです。

ふつうのコップ

井上尚之三色コップ 石川昌浩コップ

井上尚之三色コップ,1,260- 石川昌浩ガラスコップ,1,800-

当店の定番品です。共にごくごくあたりまえのコップですが、一杯の水がおいしく飲めます。それはとても嬉しいことです。作っている二人はともに1975年生まれ。のびしろの大きさが魅力です。彼らと一緒に暮らしを育てていく気持ちをもって使っていただければと思っています。

ふもと窯から届きました

藁釉・七寸皿。滑らかな白が心地よいです。

ふもと窯から井上尚之さんの器が届きました。今回はあまり数を仕入れませんでしたが、僕の好きなものばかりです。近頃、尚之くんの器を扱ってくださるお店が増えたとうかがい、嬉しくなりました。一人でも多くの方に使っていただき、器をもっと気軽なものと捉えてもらえるのは僕にとっても本意です。大切なものを気軽に使うことが、日々のよろこびにつながると思います。ちなみに、9月13日から京都国立近代美術館にて開かれる「生活と芸術 - アーツ&クラフツ展」においても、彼の器を売店に出すそうです。彼曰く「突然品を送るようにと電話があったので手近にあったスリップのものを適当に送った」そうですが、お近くの方には是非ご覧いただけますと幸いです。当方も9月14日から博士研究に関する資料調査のため、しばらく京都に滞在しますので、見に行こうと思います。

こちらは窯の仕事から。蓋物です。景色もあって使い方に幅があります。

これらの器の他、定番の豆皿、取り皿に使いやすい4寸皿などもあります。気になる方はお問い合わせください。